郵便不正容疑、日本郵便も捜索 ベスト電器元部長逮捕

2009年4月16日15時15分

日本郵便新東京支店の捜索に入る大阪地検の係官ら=16日午前8時32分、東京都江東区新砂2丁目、越田省吾撮影

 ダイレクトメール(DM)広告の発送をめぐる郵便不正事件で、大阪地検特捜部は16日、家電量販大手「ベスト電器」(福岡市博多区)のDM広告の発送をめぐり約2億4千万円の料金を免れたとして、同社の元販売促進部長、久保俊晴容疑者(51)を郵便法違反容疑で逮捕した。大手広告会社「博報堂」の子会社「博報堂エルグ」(同)の執行役員ら逮捕状を取った残る9人も取り調べており、容疑が固まれば逮捕する。郵便事業会社(JP日本郵便)の新東京支店(東京都江東区)も関連先として家宅捜索した。

 特捜部は、事件にかかわったとされる障害者団体に郵便料金割引制度の適用を認めていたJP側に不正への関与がなかったか本格的に調べる。また、特捜部は同日午前、ベスト電器本社や、DM印刷を請け負った東証2部上場で大手通販・印刷会社「ウイルコ」の東京営業部(東京都中央区)の捜索を始めた。

 ベスト電器博報堂エルグの幹部以外で逮捕されるのは、ウイルコの若林和芳会長(57)と執行役員▽障害者団体「白山会」(東京都文京区)の守田義国会長(69)▽同「健康フォーラム」(同港区)の菊田利雄代表らのほか、すでに別の郵便法違反の罪で起訴された広告会社「新生企業」(現・伸正、大阪市西区)社長の宇田敏代被告(53)と、元取締役の阿部徹被告(55)。

 ベスト電器は、通常なら1通120円が最低8円で送れる「心身障害者用低料第3種郵便物制度」を使い、05年8月〜昨年2月にDM広告約1100万通を発送していた。

 特捜部の調べによると、10人はこのうち約200万通を、07年2月、「発行部数の8割以上が購読されている」などの制度の要件を満たしていないと知りながら、9回前後にわたってベスト電器の顧客らに不正に発送。正規料金との差額約2億4千万円の支払いを免れた疑いがある。

 特捜部は、新生企業の宇田社長らを2月に逮捕し、ウイルコが広告主となったDM発送で9億円余りの料金を免れたとする郵便法違反の罪で起訴した。この捜査で今回の不正を把握したとみられる。