ミツトヨ、測定器3台不明 マレーシア輸出分
2006年02月15日08時11分

 3次元測定機の輸出をめぐる外為法違反容疑事件で、精密機器メーカー「ミツトヨ」(川崎市)が「核の闇市場」とつながるマレーシアの企業に、3次元測定機など合計6台を輸出し、その後、リビアで見つかった3台以外は所在不明になっていることが、関係者の話で分かった。マレーシアの企業から転売された可能性もあるという。警視庁はいずれも輸出規制の対象になる製品であるとみて、押収した資料の分析や測定機の輸出経緯を調べている。

 関係者やミツトヨによると、同社は01年12月から02年8月にかけて、3種類の測定機器を2台ずつ計6台、現地法人を通じてマレーシアの「スコミ・プレシジョン・エンジニアリング」(SCOPE)に販売した。測定機は性能を生かすためには高度な設置技術が必要という。納入後、ミツトヨ側は設置作業を担当し、現地に派遣された関係者が使用方法などをSCOPE社に指導したという。

 その6台のうち3台が、国際原子力機関IAEA)が2年前にリビアを核査察した際に見つかった。捜査当局はアラブ首長国連邦のドバイ経由でリビアに運ばれたとみている。一方で、同等の性能を持つ残り3台の行方は分からなくなっているという。

 ミツトヨは「SCOPE社に販売した後に測定機がどうなったかは、当社では分からない」としている。

 ミツトヨから使用方法などの指導を受けていたSCOPE社は、こうして得た高度な技術も手に入れた測定機とともに流出させていたとみられる。警視庁はミツトヨが会社ぐるみで機器や技術の不正輸出にかかわっていなかったか、慎重に調べている。

 SCOPE社は、パキスタンの核開発者カーン博士が作り上げた「核の闇市場」に核関連機材を提供していた。カーン博士は闇市場から手に入れた核関連機材や技術を、リビアやイランなどに売ったことを認めている。