2006/09/01-22:19 千葉製油所の自主検査認定取り消し=コスモ石油の事故隠しで−経済産業省
 コスモ石油が1997年以降、同社の製油所で発生した7件のガス漏れ事故を行政当局に報告していなかった問題で、経済産業省は1日、千葉製油所に対する保安自主検査の認定を取り消すと発表した。同社から弁明を求める「聴聞」手続きを経て、月内にも正式決定する。
 認定が取り消された場合、今後2年間、毎年生産設備を停止して千葉県による保安検査を受けることが義務付けられ、同社にとっては信用面だけでなくコスト面でも大きな影響が出る。

◇過去の主な薬害と概要◇

サリドマイド(1959〜62年、約300人)催眠剤などとして服用した妊婦の子供に手足が短いなどの障害

▼スモン(55〜70年、約1万1000人)整腸剤キノホルム服用でまひや歩行・視力障害など

▼クロロキン(55〜69年、約1000人)リウマチ治療薬などとして服用し失明など網膜症の副作用

エイズ(83〜85年、約1500人)主に血友病患者に投与された非加熱血液製剤HIVに感染

クロイツフェルト・ヤコブ病(87〜97年、約100人)ヒト乾燥硬膜を脳移植され、歩行障害や運動・思考能力の喪失

C型肝炎(64〜88年、150万人以上)止血などのため血液製剤を投与され、C型肝炎ウイルスに感染

 ※カッコ内はおおよその被害時期と推定被害者数

毎日新聞 2006年9月4日 東京朝刊

製薬企業はどうか。

 三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)は今春、検察から刑事事件資料の返還を受けて内部調査委員会を設置した。しかし広報担当者は「委員会の開催日は公表しない。非公表の理由も言わない」。HIV訴訟和解時、被害者側に約束した「情報の提供」という言葉がうつろに響く。

 3月に東京で開かれた和解10周年記念集会。被告5社のうち、供花を贈るなどして弔意を表したのはバクスター(旧トラベノール)だけだったという。被害者支援組織「はばたき福祉事業団」の大平勝美理事長(57)は語る。

 「10年間活動して、これが一番信じられない。犠牲者に祈らず、被害者から直接声を聞かない『再発防止』などあり得ないのではないか」=つづく

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 ■HIV訴訟和解時の「確認書」■

 (抜粋、96年3月29日)

厚生大臣、製薬企業は悲惨な被害を拡大させた重大な責任を深く自覚、反省して、甚大な被害を被らせるに至ったことにつき、深くおわびする

厚生大臣は真相究明に一層努め、被害を再び発生させることがないよう、最善、最大の努力を重ねる

・製薬会社は治療薬の開発、情報の提供等、HIV感染者の治療向上に努める

毎日新聞 2006年9月1日 東京朝刊