日興虚偽記載:新たに利益水増しを公表 05、06年に

厳しい表情で決算内容を説明する日興コーディアルグループの桑島正治社長=東京証券取引所で1日午後4時58分、塩入正夫撮影 不適切な決算処理が問題になっている日興コーディアルグループの桑島正治社長は1日会見し、すでに発覚している189億円の利益水増し以外に計239億円の新たな水増しが見つかったことを明らかにした。不正経理が05年3月期と06年3月期に及び、複数回に渡って行われていた事実が判明したことで、東京証券取引所が進めている日興グループ株の上場廃止審査に影響を与えるのは必至だ。

 日興グループによる有価証券報告書の虚偽記載については、05年3月期連結決算でコールセンター大手のベルシステム24の買収に伴う189億円の利益水増しが判明している。今回、同決算で、新たに特定目的会社(SPC)20社が関係した計48億円の利益水増しが明らかになった。

 さらに06年3月期連結決算では、最初に発覚した水増しの舞台となったSPCがベル社株を売却した際の売却益167億円と、別のSPC20社が他の企業を買収した際の24億円の計191億円が不当に計上されていたことがわかった。日興グループは水増し分を減額する決算修正を行い、05年3月期連結の経常利益を588億円から540億円、06年3月期の経常利益を1688億円から1497億円とした。

 いずれも、企業買収のために設立したSPCを日興グループの連結対象としなかった有村純一前社長ら前経営陣の会計方針が原因とされ、桑島社長は「05年3月期にさかのぼって、すべてのSPCを連結の範囲に加え、透明性を高めることにした。(非連結とした)前経営陣の判断は適正でなかったと思う」と述べた。

 日興グループをめぐっては、最初に問題となった05年3月期の虚偽記載を調査した弁護士ら有識者の特別調査委員会が「同じような不正経理が以前から存在していた」と指摘していた。桑島社長は自ら不正経理を公表することで投資家らの信頼回復を目指す考えだが、日興グループの上場廃止を審査している東証は「投資家への影響が重大か否かを含め、最終判断したい」としている。【川口雅浩】

毎日新聞 2007年2月1日 20時04分