クラスター爆弾:製造企業に投資中止 蘭の年金2団体
 【ハーグ福原直樹】不発弾が一般市民に被害をもたらしているクラスター爆弾の製造企業に計6億ユーロ(約1000億円)以上を投資していたオランダの公的年金基金3団体のうち2団体が、国際的な禁止議論の流れにそぐわないとして、投資の中止を決めたことが24日分かった。欧州ではベルギーなどの金融機関が同爆弾の製造企業の「ブラックリスト」を作成、投資を中止しており、投資自粛の流れが定着し始めたと言えそうだ。

 年金基金として世界2位の規模を持つ公務員年金基金(ABP)と、医療機関年金基金(PGGM)が投資中止を毎日新聞の取材に明らかにした。残る鉄道関連の年金基金SPFも近く投資の是非を検討する。

 各団体やオランダの信用調査機関・プロフォンドの調査によると、公務員年金は06年、ロッキード・マーチンなど同爆弾を製造する米企業へ計約3億ユーロ(約480億円)、欧州の企業に計3億4000万ユーロ(約547億円)を投資。医療機関年金や鉄道年金も同年、ノースロップ・グラマンなど米企業に計約1600万ユーロ(約25億7000万円)を投資した。

 だが、公務員年金と医療機関年金が4月までに、対人地雷とクラスター爆弾の製造会社への投資中止を決定。鉄道関連年金も「5月の役員会で投資の是非を決める」(同社広報)方針だ。

 中止理由について公務員年金は「欧州連合(EU)の欧州議会、英国、ノルウェー、オランダなど欧州でクラスター爆弾(の使用・製造禁止)について議論が高まっている」と指摘、国際社会の流れに従ったことを認めた。また医療機関年金は「市民に被害を与える兵器の製造企業を(投資先から)排除する」と説明した。

 欧州ではベルギーの大手金融機関・KBCや、ノルウェーの年金基金が04年以降、クラスター爆弾の製造企業のブラックリストを作成して投資を中止し、英国やオランダの金融機関も追随していた。

毎日新聞 2007年4月25日 15時00分

土壌汚染:最大4700倍の有害物質 愛知・蒲郡の工場
 愛知県は25日、同県蒲郡市宮成町のレンズ製造加工を行う興和蒲郡工場内の土壌から、毒性のある有害物質「テトラクロロエチレン」が、国の基準(1リットルあたり0.01ミリグラム)の最大4700倍の濃度で検出されたと発表した。

 テトラクロロエチレンの土壌溶出量として同県内では最大値という。地下水でも約460倍の濃度で検出されており、県は汚染土壌の除去など浄化対策を指導するほか、周辺井戸の汚染状況調査などを行う。周辺には飲用井戸もあるというが、現在、健康被害の報告は出ていないと言う。

 同社が工場を建て替えるため、06年12月から07年4月まで調査し、判明した。テトラクロロエチレンのほか、土壌からは鉛が340倍、地下水からもトリクロロエチレンが2.1倍の濃度で検出された。テトラクロロエチレンは74年まで、トリクロロエチレンは94年まで、部品洗浄などで使っていた。鉛はレンズに含まれ、研磨に使った部品を敷地内に野積みにしていたものが、雨などで流れ出したとみられる。

 同工場は「徹底して除去を行い、住民の不安を取り除きたい」と話している。【清藤天】

毎日新聞 2007年4月25日 14時05分