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そーい君の積み木(カプラ)はかなり高度になってきた。感心。

JT、中国委託を縮小 ギョーザ事件改善策 現地自社工場に集約

2008年3月5日 朝刊

ギョーザ中毒事件関連で、記者会見するJTの木村宏社長(左)=4日午後、東京・丸の内で


 日本たばこ産業(JT)の木村宏社長は四日、都内で会見し、中国製ギョーザ中毒事件を受け、冷凍食品の中国現地法人への生産委託を段階的に縮小する考えを示した。子会社の加ト吉保有する日本国内工場も含め、自社グループ工場での生産集約を進める。

 ただ、中国での生産規模は維持したい考え。中国は食材が安価で入手しやすく、人材や物流インフラが整備されているため、自社工場を通した現地生産に切り替える。

 また、事件を踏まえ、製造から物流までの安全管理体制強化を進める。具体的には、中国に日本人スタッフを常駐させ、年二回の現地工場の監査と抜き打ち検査を行う。

 検査項目には、今まで行っていなかった農薬など化学物質の検査も実施。化学物質の有無を調べる検査センターを中国と日本に新設し、検査体制を強化する。

 さらに、製品品質や消費者からの苦情相談を一元管理する「食の安全管理担当部長」を置くほか、製品の包装紙に原産地の表示を行ったり、自社ホームページでも製造先などの詳細情報を掲載するなど、生産情報の開示を強化する。

 木村社長は「これで安全宣言ができるとは思っていない。まずは取り組みを進め、今後も追加して取り組むべきことがあればすぐに実行し、信頼回復に努める」とした。
消費者離れ深刻

 中国製ギョーザ中毒事件を受け四日会見した木村宏社長は、安全管理強化策を発表する一方、冷凍食品を含めた食品事業をグループの柱に育てる戦略に「変わりはない」と明言した。ただ、売上高にみる消費者の“JT離れ”は深刻で、同社が描く「次代の柱」に向けては、課題が山積している。

 JTの二月の冷食売上高は、市販用が前年比九割減と大きく減らしたほか、業務用も四割減となった。現状の工場稼働率は約七割で、このままいけば大幅な生産調整も余儀なくされるという。

 先月発表した二〇〇八年三月期の業績見通しでも、冷食事業は期初に比べ最大八十億円の下振れリスクがあり、全体の営業利益ベースでは三十億円の減益要因となるとしている。

 それでも、食品事業の経営戦略を変えない背景には、冷食最大手の加ト吉との経営統合を踏まえた強気の姿勢がある。

 統合に参画予定だった日清食品が離脱した誤算はあったものの、加ト吉の売上高約二千億円とJTの冷食事業五百億円が合算されれば、国内で圧倒的な地位が手に入る。

 冷食業界トップをうかがうからこそ、一連の対応で露呈した危機管理体制の甘さは、早急に改善されなくてはならない。木村社長自身も「最大の反省点は、数件の苦情を単発情報として扱ったこと。早い段階で対処していれば被害は広がらなかった」と一連の対応の不備を認め、改善策を列挙した。

 ただ、今回の事件で消費者の間に生まれた、JT製品ばかりでなく冷凍食品や中国製食品全般に対する不信感は根深い。事件の真相もいまだ明らかになっておらず、「次代の柱」を育てるには、これまで以上に時間が必要となるのは必至だ。 (石川智規)