ナノテクへの懸念高まる、裸の抗議行動も(上) Howard Lovy
 5月上旬のシカゴの肌寒い午後、環境活動家の一団がミシガンアベニューの『エディー・バウアー』の店内に入り、『マグニフィセント・マイル』と呼ばれる繁華街に面した大きなショーウィンドウへと向かった。そして突然、服を脱ぎはじめた。
 すでに市場に出ているナノ素材には、化粧品や日焼け止めに使われているナノスケールの二酸化チタン、歯の詰め物として使われているナノスケールのシリカ、そしてエディー・バウアー社のナノパンツのような汚れにくい生地に使われているナノウィスカー[針状の結晶]などがある。さらに、ナノスケールの粘土や塗料も、テニスボールから自転車、車にいたる幅広い製品に使用されており、ボールの弾みをよくする、大きな衝撃を受ける部品を強化する、素材を傷つきにくくする、といった役割を果たしている。ナノテクによっていつか、顕微鏡でしか見えないほど小さな機械が登場すると予想する人もいる。
 ナノテックス社の資料によると、同社の専有技術は2000年に商用目的で開発されたものだという。この技術ではコーティングが繊維にミクロン以下のレベルで付着するため、繊維の1本1本に防汚性などの機能を持たせることができ、素材を仕上げるのに必要な化学物質の量も減らせる。ナノテックス社によると、全世界で80を超える繊維工場が同社の技術を採用しており、何十もの有名アパレルブランドといくつかの家具ブランドがこれらの工場で作られた製品を販売しているという。その中には、エディー・バウアー、『ギャップ』(GAP)、『オールド・ネイビー』、『リー』(Lee)、『ナイキ』、『ノードストローム』、『ブルックス・ブラザーズ』、『リーバイス』、『シモンズ』、『サータ』(Serta)などが含まれている。