石綿工場:健診の住民、17%病変 奈良「ニチアス」周辺
 アスベスト石綿)製品を作っていた耐火材メーカー「ニチアス」(本社・東京都)の王寺工場(奈良県王寺町)と子会社の「竜田工業」(同県斑鳩町)が実施した健康診断で、受診した周辺住民202人のうち約17%にあたる35人が、石綿を吸ったことで現れる病変「胸膜肥厚斑」や石綿疾患の「肺線維症」と診断されたことが22日、分かった。
 健診を担当した国立病院機構奈良医療センターの田村猛夏副院長(呼吸器内科)らが6月2日、都内で開かれる日本呼吸器学会で発表する。
 住民説明会などで呼びかけ、昨年7月末ごろから実施。同年末までに▽両社の元従業員496人▽従業員の家族76人▽出入り業者13人▽周辺住民202人の計787人が受診した。
 このうち612人が再検査を受けた。石綿の職業歴が確認されていない周辺住民では35人に「胸膜肥厚斑」があり、うち1人は大量に石綿を吸って肺の組織が硬くなり呼吸しづらくなる「肺線維症」になっていた。いずれも今後、中皮腫や肺がんになるおそれもあるとされる。
 35人は30〜80歳代。終戦直後から約10年間、ニチアス王寺工場周辺で農作業をした際に石綿を吸い込んだとみられる70歳代の男性や、乳児のころから竜田工業周辺に住み続けていた38歳の男性などの例があるという。
 元従業員らについては、大半に異状があったが、詳細はまとまっていないという。
 田村副院長は「被害の出ている周辺住民には、定期健診をするなどの制度を行政が早急に確立すべきだ」と話している。
 両工場周辺では、住民5人が石綿関連がんの中皮腫で死亡していたことが既に判明。今回の調査結果について、ニチアス王寺工場は「アスベストの影響の可能性が高いと考えており、経過観察など誠心誠意対応したい」とし、竜田工業は「当社起因の(石綿の)可能性が高いと判断する。企業の責任として住民をケアしていく」と話している。【曽根田和久】

毎日新聞 2006年5月23日 3時00分

業務停止1カ月命令へ 損保ジャパンに金融庁
 損害保険大手の損保ジャパンで提携先の生命保険を販売する際、社員が保険料を立て替える違法行為があった問題で、金融庁は23日、週内にも損保ジャパンに生保の新規販売を1カ月程度停止するなど一部業務停止命令を出す方針を固めた。経営陣らの責任の明確化などを求める業務改善命令も出す方向で最終調整している。
 また新たな保険金不払いも見つかっており、主力の損保商品の一部販売停止も検討する。