石原産業元役員ら取り調べ 三重県警、有害産廃の大量投棄
 フェロシルト不法投棄事件で、石原産業四日市工場に家宅捜索に入る捜査員=6日午前8時42分、三重県四日市市

 化学メーカー石原産業大阪市)が大量の土壌埋め戻し材「フェロシルト」を不正に処分したとされる事件で、三重県警などの合同捜査本部は6日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、同社取締役だった佐藤驍・元四日市工場副工場長(69)ら数人の取り調べを始めた。容疑が固まり次第、逮捕する方針。

 フェロシルトは四日市工場から排出される廃硫酸が主な原料。2001年8月から05年4月にかけ、岐阜、愛知、三重、京都4府県の造成地などに計72万トンが埋め立てられ、30カ所で環境基準を超える有害物質が検出された。捜査本部は、製品販売を装った組織的で悪質な産廃の不法投棄事件とみて全容解明を急ぐ。

 調べでは、佐藤元副工場長らは02年1月ごろから約1年間にわたり、6価クロムなど有害物質を含むフェロシルト約10万トンを三重県亀山市辺法寺町の造成地に不法投棄した疑いが持たれている。

 同社はフェロシルトを「廃液を無害化した画期的なリサイクル製品。造成工事現場の埋め立てで土の代用品として使える」と宣伝し、造成工事の請負業者らに1トン当たり150円で販売。業者らは造成地に埋め立てていた。

 石原産業は、フェロシルト販売と同時に運搬費名目で業者に1トン当たり約3000円を支払っており、捜査本部は「取引実態は産廃処理の委託」と判断。販売から埋め立てまでの一連の行為を不法投棄とみている。

 佐藤元副工場長はフェロシルトの開発などを主導。6日までの捜査本部の調べに「フェロシルトが産廃に当たると認識していた」と説明していたという。