クラスター爆弾:製造企業への投資中止 欧米の20団体
 【オスロ福原直樹】不発弾が市民に大きな被害を与えているクラスター爆弾を「非人道的」と判断し、製造企業への投資を05年以降、中止した欧米の大手基金や金融機関が約20に広がっていることが17日までにわかった。投資を中止した中には、日本の大手銀行の預金量並みの総資産を持つノルウェー年金基金(総資産約2500億ユーロ、約41兆円)もある。同爆弾の「資金源を断つ」方針は、欧米の金融機関の主流になりつつあるようだ。

 同基金の投資を審査する倫理委員会が毎日新聞に明らかにした。金融機関の大半は投資中止を公表していないが同委が情報収集した。

 中止した中には「北米の大手金融機関」が含まれる。また同基金や▽ベルギーの銀行▽英国の信用金庫も中止している。

 同基金は71年に生産を始めた北海油田の収益を元に、90年に設立。国外企業約3000社(07年)に投資するが、04年に倫理委員会を設置。「著しい人権侵害」を行う可能性のある投資対象の審査を始めた。この結果、昨年までに▽クラスター爆弾製造7社▽核兵器製造関連8社など、計19企業への投資を中止した。

 同委員会は同様の中止例についての調査を独自に実施。欧米で約20の金融機関が同基金に追随、クラスター爆弾関連企業への投資を中止していたことがわかった。同委員会は倫理審査や投資中止の結果を公表しており、この結果を信頼し、投資中止の基準に適用した金融機関が多いという。

 同委のニステュエン委員長は、クラスター爆弾が多数使用され、市民に被害が出た第2次レバノン戦争に触れ「こうした影響で、倫理を重視し、投資をやめる金融機関が増えた」と「投資自粛」の背景を説明している。今年2月、46カ国が08年までに同爆弾の禁止条約を作る「オスロ宣言」が出されたことも背景にあるとみられる。

 欧州ではこれまでオランダの二つの年金基金が今年4月までにクラスター爆弾関連企業への投資中止を決めている。

毎日新聞 2007年5月18日 3時00分