粉飾の責任「歴代社長全員に」 2006年01月11日01時00分
 カネボウ粉飾決算事件で、証券取引法違反の罪に問われている同社の元社長帆足隆被告(70)と元副社長宮原卓被告(63)の公判が10日、東京地裁であった。帆足元社長は被告人質問で「社長就任の直後に、すでに約2500億円の債務超過という『負の遺産』があった。これを公にして従業員や株主に迷惑をかけるわけにいかなかった」と動機を語った
 帆足元社長は、裁判官に「あなたの言う『負の遺産』についてだれが一番悪いと思うか」と問われ、歴代の社長の名前を列挙。「粉飾は70年代から繰り返されてきたと聞いた。それ以降の全員に責任があると思う」とした。社長就任前の90年代初めに、当時の経営陣から化粧品部門で粉飾をするよう指示されたことも明らかにした。
 宮原元副社長も「カネボウはいわゆる大企業病にかかっていた。カネボウに派遣された95年には、社内で粉飾を指す言葉が飛び交っていた」と述べ、「長年の負債を前に、『粉飾はだめだ』という建前ばかり言うわけにはいかなかった」と振り返った。