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サハリン2 「環境破壊は深刻」 ロシアの団体、事業中止を訴え  2006/09/22 09:32
 【モスクワ21日藤盛一朗】ロシア天然資源省が石油・天然ガス開発の建設工事承認を取り消した「サハリン2」について、ロシアの環境団体は二十一日までに、パイプライン建設やアニワ湾のしゅんせつ工事で、深刻な自然破壊を引き起こしていると指摘した。地震によるパイプライン破損の懸念も強まっているとして、事業中止をあらためて訴えている。

 「世界自然保護基金(WWF)ロシア」や「サハリン環境監視」によると、サハリンを南北に縦断する全長八百キロのパイプラインは、サケ類が遡上(そじょう)する多数の河川を通過。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルを主体とするサハリンエナジー社(ユジノサハリンスク)は随所で、法律で認められていないパワーショベルによる河川掘削を行っているとしている。工事後の河川への土砂流入も目立つという。

 さらに大型船による資材運搬のため、南部のアニワ湾のしゅんせつ工事を行った結果、土砂が湾内に拡散し、大量のホタテが死滅したという。

 また、パイプラインの建設ルートには十九の活断層があるが、サハリンのような地震多発地帯では地上に建設し、地震対策をとるのが通例なのに、「サハリン2」では地下に埋められ、地震の際の事故が強く懸念されるという。

 WWFロシアのチェスチン代表は「パイプライン建設が終わった『サハリン1』と比べ、『サハリン2』では大規模な環境破壊が進んでいる。事業差し止めは遅きに失した」と話している。

 一方、サハリンエナジー社は「事業では多くの環境面の課題が生じたが、克服されている」とし、環境破壊批判は当たらないと反論している。