食中毒菌の肉を給食に ミートホープ、検査データ改ざん
2007年07月12日06時08分

 ミートホープ(北海道苫小牧市)による一連の食肉偽装事件で、同社は、ハムやソーセージといった加熱加工肉製品から食中毒を起こす細菌が検出されても、そのまま出荷していたことが元幹部の話でわかった。小中学校の給食向けも含まれており、検査データはでっちあげていたという。食品衛生法違反の疑いが強いが、田中稔社長の意向をくんだ幹部の指示だったという。

 元幹部によると、同社が北海道恵庭市の学校給食センターに納入していたハムやソーセージなどから、サルモネラ菌などが検出されることが少なくなかった。同社は「子どもたちがそのまま食べるわけではない。給食センターで加熱するから大丈夫だ」として出荷。センターに出すデータは「必ずどこかの数値を改ざんしたり、検査しないまま適当な数字をでっちあげたりしていた」(元幹部)という。

 企業に納入する商品も同じで、大腸菌が出てもそのまま出荷。取引先が検査し、細菌が検出されて返品されることもあったが、廃棄することはなく、別の会社に販売した。再度加熱し直し、「別物」として同じ取引先に再出荷することもあったという。

 元幹部は「返品されても処分したことはない。必ず売って、もうけを出した」と証言する。

 検査係だった従業員によると、取引先に定期的に報告するデータは、検査をしないまま、良好な数値を書き込んだという。この従業員は「検査をしようとしても、当時の工場長らから『そんな時間があるなら別の仕事をしろ』と怒られた」と話す。

 食品衛生法に基づく規格基準は、加熱食肉について、サルモネラ菌大腸菌は「陰性」でなければならないとし、黄色ブドウ球菌は肉1グラムに1000個以下でなければならないなどと定めている。違反して出荷した場合は営業許可の取り消しといった行政処分が科される。

 ミートホープをめぐっては、ためた雨水で冷凍肉を解凍していたことが明らかになっている。田中社長は「もったいない、という気持ちがそうさせた」と言うが、元幹部によると、肉が工場の床に落ちても、そのまま使っていたという。