秋山氏、軍需企業から5億円 防衛族団体専務理事

2008年5月9日 07時56分

 防衛族議員などが参加する社団法人「日米平和・文化交流協会」(東京)の秋山直紀専務理事(58)が、約三年間で軍需関連企業を中心に総額約五億円に上る資金を集めていたことが関係者の話で分かった。この間の秋山氏は数千万円しか所得申告しておらず、東京地検特捜部は所得税法違反(脱税)の疑いも視野に入れ、捜査を進めているもようだ。

 関係者によると、主に資金の受け皿となったのは、秋山氏が日本支社の顧問を務める米国法人「アドバック・インターナショナル・コーポレーション」(ロサンゼルス)や米非営利法人「カウンシル・フォー・ナショナル・セキュリティー(CNS)」(ワシントン)名義などの米国での口座。

 日米の大手軍需メーカーや商社十社前後から、コンサルタント料などとして約三億円の送金があった。

 このほか、日米の軍需関連企業が同協会に支出した会費や寄付金などの一部もアドバック社に流れていた。二〇〇六年十月には防衛専門商社「山田洋行」から秋山氏へ約三千万円が渡っていることが判明しており、これらを合わせると秋山氏が集めた資金は約五億円に上るとみられる。

 前防衛次官の汚職事件を捜査していた東京地検特捜部は昨年十一月、同協会の事務所がある東京都千代田区の高級マンションや豊島区の自宅マンションなどを捜索し、押収資料を分析。軍需メーカー関係者などから事情聴取し、日米の防衛産業界と政官界とのパイプ役とされる秋山氏の資産形成の経緯や資金の流れの解明を進めた。

 その結果、軍需関連企業からアドバック社やCNSへの送金のうち必要経費を引いた分については、秋山氏の個人収入に当たるとして、脱税の疑いがあるという見方を強めているもようだ。

 秋山氏は今年一月、参院外交防衛委員会参考人質疑に応じた。翌二月には東京地裁の破産手続き開始決定を受けた。

東京新聞

コニカミノルタ、18億円所得隠し 医療機器を無償で「貸与」

2008年05月09日06時03分

 大手精密機器メーカー「コニカミノルタホールディングス」(東京都千代田区)と連結子会社数社が東京国税局の税務調査を受け、07年3月期までの2年間で計約18億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。大半は、医療機器販売子会社が、病院への売り込み目的で無償貸与した機器について、別の費用に仮装して所得を圧縮していたと認定された模様だ。

 無償貸与は、医療機器の受注などで病院から有利な取り扱いを受けたいメーカーにとって「商慣習の一つ」とされるが、「公正な競争を阻害する」といった指摘もある。

 経理ミスを含む申告漏れ総額は二十数億円で、重加算税や地方税を含む追徴税額は約12億円。ホールディングスは「販売促進に熱心なあまり、税務上の処理への認識が足りなかった。指摘には従う」と話している。

 子会社は、医療機器を販売する「コニカミノルタヘルスケア」(同日野市)。X線検査装置などの医療機器を、NTTやJR関連病院、国公立大学付属病院、開業医などに販売している。

 関係者によると、ヘルス社などメーカーが加盟する「医療機器業公正取引協議会」(同文京区)は公正な取引を守る目的で、寄付・寄贈など病院に対する特別な便宜を禁じている。このため、同社は機器を各病院に貸与する形を取ったが、返してもらう予定はなく、機器にかかった費用を全額、別の取引での原価に付け替えて計上していたという。

 無償貸与により、将来の納入に期待できるほか、貸与した機器のメンテナンスや消耗品の使用で収益を上げることを狙っていたという。

 国税局は、貸与である以上、これらの機器は同社の所有物であり、本来は会社の資産として毎年減価償却の形で少しずつ計上するべきだと指摘。仮装隠蔽(いんぺい)があったとして、重加算税の対象と認定したとみられる。

 コニカミノルタホールディングスは、カメラメーカーのコニカミノルタが03年に経営統合して持ち株会社として発足。06年3月にカメラ事業から撤退したが、コピー機やプリンター、光学商品などを製造・販売する傘下の子会社も含めた連結売上高は07年3月期で約1兆円。グループ内で損益を合算して申告する「連結納税制度」を採用している。

 民間信用調査会社によると、ヘルス社は1946年創業で、07年3月期の単独売上高は約782億円。国内外主要メーカーの医療機器類の大半を取り扱っている。(中村信義、舟橋宏太)
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