【社会】
石原産業 有毒ホスゲン無断製造 農薬用170トン

2008年5月15日 朝刊

 化学メーカー石原産業大阪市)の織田健造社長は十四日、三重県庁で記者会見し、同社四日市工場(三重県四日市市)で、無届けで農薬原料の有毒ガス「ホスゲン」を製造していたことなど新たに発覚した不正九件を発表した。ホスゲン第一次世界大戦では兵器として用いられており、経済産業省は「化学兵器に転用されるような物質を届け出なかったのは遺憾」とし、事実関係を確認している。

 過去に有害物質を含む埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件を起こしたことを踏まえ、三月に同社が「コンプライアンス総点検」として全社員を対象に行った記名式アンケートなどで判明したという。

 調査によると、石原産業は二〇〇五年二月から〇六年十月まで、有毒ガス「ホスゲン」を「周辺住民の理解が得にくい」などとして無届けのまま、約百七十トン製造した。化学兵器禁止法は年間三十トン以上生産する場合に設備や製造量などについての届け出を義務付けている。

 また、地下水から環境基準の五百倍のヒ素などの有害物質が検出されたことも判明。地下水の汚染は戦前から続く工場敷地内への産廃の投棄が原因とみられ、同社は埋設状況を確認している。

 そのほか、排水や産廃中の有害物質の数値を大幅に減らし虚偽の報告をしていたことなども判明したという。

 同社はフェロシルト不法投棄事件などに絡み、織田社長をはじめ役員六人を含む計十六人を同日付で減給などの懲戒処分にしたと発表。この事件では三重県警などの合同捜査本部が〇六年十一月に同社の元副工場長らを廃棄物処理法違反容疑で逮捕。同社の罰金と元副工場長の実刑が確定している。