【社会】
幹部らきょう逮捕 グリーンピース 鯨肉窃盗疑い

2008年6月20日 朝刊

 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」が、調査捕鯨船の乗組員が自宅などに送った鯨肉を無断で持ち出した問題で、青森県警などは、窃盗容疑などで団体幹部ら二人の逮捕状を取った。二十日に逮捕する方針で、東京の事務所など関係先も捜索する。

 グリーンピース側はこれまで持ち出しの事実を認めた上で「横領疑惑の物的証拠を入手するためで自身の用にあてるためではない」と主張。窃盗罪には当たらないと強調していたが、県警などは悪質な違法行為と判断。国際的な環境保護団体をめぐる刑事事件に発展する見通しとなった。

 グリーンピースは五月、調査捕鯨船「日新丸」乗組員が捕鯨肉を私的に自宅などに送った疑いがあるとして、業務上横領容疑で東京地検に告発状を提出。鯨肉を証拠として公表した。一方で、この鯨肉は盗まれたものとして、西濃運輸岐阜県大垣市)が青森県警に盗難被害届を提出。県警が窃盗容疑で捜査していた。

 グリーンピースによると、スタッフが四月十六日、西濃運輸青森支店(青森市)の配送所で、鯨肉の入った段ボール箱一箱を持ち出していた。東京地検は同団体が告発した乗組員らに対し不起訴処分にするとみられている。

「逮捕は不当、告発の意義薄れぬ」グリーンピース代理人

2008年6月20日11時20分



朝日新聞
 午前8時半ごろ、東京都新宿区のグリーンピース・ジャパンの事務所に、青森県警と警視庁の捜査員十数人が家宅捜索に入った。

 グリーンピース側は、午前9時から事務所で記者会見を予定していた。逮捕された海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一容疑者(31)も会見に出席することになっていたが、急きょ中止。捜索が続く中、同9時10分すぎ、代理人只野靖弁護士がビルの前に姿を現し、取材に応じた。

 只野弁護士は「横領行為を告発するための行為で、窃盗罪は成立しない」とのこれまでのグリーンピース側の主張について、「変わりはない。告発の意義は薄れない」と説明した。

 さらに鯨肉を東京地検に、持ち出しの経緯などを説明した文書を青森県警にそれぞれ提出していることを挙げ、「任意の事情聴取にはいつでも応じると言い続けてきた。逮捕は不当で、即時の身柄釈放を求めたい」と語った。